海もいいけど
山が好き。
という方へ
熊本市の南東に位置する山都町(やまとちょう)。
宮崎県との県境近くに位置する、雄大な渓谷・蘇陽峡(そようきょう)、高千穂峡に流れ込む五ヶ瀬川を中心とした町。
豊富な湧水による農産物の宝庫でもあります。
夏は人気の避暑地。
秋は紅葉に色づく観光名所。
そんな秘境を巡ってみました。
日本の宝
懐しい原風景が
残る土地。
九州に“グランドキャニオン”があることはご存じですか? 高さ約200メートルもの切り立った絶壁が、10キロメートル以上も続くU字形の渓谷、蘇陽峡。深い緑のなかを白い川筋が走る雄大な景色は、“九州のグランドキャニオン”と称されています。
夏には新緑の青々とした眺めが広がり、クマタカ、アナグマなどの野生動物を目撃することがあります。秋にはカエデ、ケヤキ、ミズメなどがいっせいに衣を替えて、山が紅葉に染まります。

蘇陽峡の谷まではよいハイキングコース。川のせせらぎが迎えてくれる。

蘇陽峡で出会ったアナグマの子ども。めずらしい動植物がいっぱい。
「この地域は、30万年前から9万年前の間に4回発生した阿蘇火山の巨大噴火により、火砕流が堆積してできた地層。その台地を五ヶ瀬川が長年にわたって削り取ってできた風景です」。そう教えてくださったのは、登山ガイドの寺崎彰(てらざき・あきら)さん。
なぜガイドのお仕事に? という質問に、ちょっと照れくさそうに答えてくださいました。山都町役場に勤めていた寺崎さんは、とある旅館の古地図に目を奪われ、人生が一変したそうです。
「いまから200年前につくられた『九州九ヵ國之繪圖(えず)』に、森の色の緑で塗りつぶされ、『此トコロ山深クシテ境目知レス』と書いてある場所がありました。それは熊本県から宮崎県にまたがる九州脊梁山地のことでした。阿蘇や九重は測量できているのに、このあたりは未踏だったんだと思うと、まるで“宝の地図”のように思えて、ワクワクして仕方なかったんです」と語る寺崎さん。寺崎さんはそのとき49歳。1年後に役場を辞め、ECO九州ツーリスト合同会社を設立。登山ガイドを勤めるかたわら、自身の足で九州脊梁(せきりょう)山地を踏破し、“宝の地図”を自ら埋めていきました。

五老ヶ滝と白糸台地の棚田。瀑布の眺めは壮観。蘇陽峡から車で30分。
一人の人物の人生を変え、冒険に駆り立てるほどの魅力がある山都町の自然。国宝に指定された「通潤橋(つうじゅんきょう)」や、農林水産省がつなぐ棚田遺産に選んだ峰(みね)棚田、菅迫田(すげさこだ)棚田、白糸台地(しらいとだいち)棚田など、日本の原風景に出会えるスポットを、あなたも散策してみてはいかがでしょう。

鮎の瀬大橋。高さ70mもの巨大な主塔は圧巻。蘇陽峡から車で40分。

国宝認定された「通潤橋」。放水する橋として有名。蘇陽峡から車で30分。



